処置前の状態の記録

処置前には、資料の紙質やイメージ材料などの状態を確認し、記録します。また、非破壊分析などを行い、適切な処置が行えるようにします。
イメージ イメージ イメージ イメージ
 
綴じの状態を記録する。
 
処置前のpHチェック。
 
資料群としての調査。
 
イメージ材料の耐水・耐溶剤チェック
 

用語説明
●非破壊分析
紙の繊維組成の観察やpH試験など、サンプル採取なしにおこなう分析。




ドライクリーニング

ドライクリーニングとは、資料の表面や紙繊維の間に入り込んだ埃や汚れを除去することで、刷毛、イレイザー(プラスチック消しゴム・練り消しゴム・粉消しゴム等)、サクションテーブル(吸引装置)を使用します。後に続く水処置の前に行うことによって、汚れの定着を防ぎます。
イメージ イメージ イメージ イメージ
 
繊維間の汚れの吸引除去。
 
練り消しゴムを使用。
 
吸引除去。
 
吸引除去。
 

用語説明
●サクションテーブル
(吸引装置)
平らな網が何層にも積み重なり、その層全体から、均一に空気を引き込めるようになっている装置。




かびと虫の害の後処置

かびや虫の糞等はサクション(吸引装置)等で吸引・吸着除去をおこなった後、固着のはげしい部分を部分除去してゆきます。活性化しているかびは無水エタノール等で滅・殺菌します。かびと虫の害は、収蔵環境を変えない限り再度発生する可能性があります。
イメージ イメージ イメージ イメージ
 
虫損部分に付着した虫の糞。
 
虫の糞。
 
かびの殺菌。
 
かびの吸引除去。
 

用語説明
●無水エタノール
99.5%以上の濃度のエタノール。耐水性の資料には、かびの滅菌に適した70%程にする。




元の修補材等の除去

不適切な元の修補材や接着剤、ステープルや金属クリップなどは資料にとって害を与え続けるものとなります。元の修補材である、水溶性の糊は与える水の状態を変えることで剥がすことができ、多くの合成糊や感圧式粘着テープは無水エタノールや有機溶剤によって剥がし、サクションプレート(吸引装置)を使用することで、修補材の残滓も除去することができます。
イメージ イメージ イメージ イメージ
 
ステープルの除去。
 
不適切な裏打ち紙の除去。
 
不適切な接着剤を除去する。
 
セロファンテープの除去。
 

用語説明
●感圧式粘着テープ
セロファンテープなど、圧着させることで接着できる接着剤を使用したテープ。19世紀半ばに開発された。
●有機溶剤
常温で揮発性にとみ、非水溶性の物質を良く溶かす性質をもつ化合物群の総称。




ウェットクリーニングとフラットニング

ウエットクリーニングとは水性洗浄を行うことで、脱イオン水、弱アルカリ水、温水などを資料によって使い分けます。この処置で紙中の酸性物質や有害な金属イオンを洗い流し、物理的には紙の白色度や柔軟性が向上するといった効果も期待されます。
フラットニングとは水、エタノールなどを使用し、変形した資料を元の平らな状態に戻すことです。
イメージ イメージ イメージ イメージ
 
処置前の水やエタノールによる耐水。
 
フラットニング。
 
アクと共に紙中の酸性物質を洗い流す。
 
フラットニング(吸引装置使用)
 

用語説明
●脱イオン水
不純物や金属イオンなどを除去した水。純水のこと。
●弱アルカリ水
ここでは純水にカルシウムやマグネシウムをある方法で添加した、弱いアルカリ性の水のこと。
●金属イオン
ここでは紙の劣化を引き起こす鉄イオン、銅イオンなどのこと。




PROCESS2


 2001 Paper Documents Conservation Studio,Inc. All rights reserved.